レポート「ポッドキャストについて」。

・ポッドキャストとは?

Apple社の携帯オーディオプレーヤー「iPod」にネットラジオを自動録音して、収集された放送を好きなときに聴取するシステム。専用のソフトに自分の好きなネットラジオ局のアドレスを登録しておくと、最新の放送内容が公開されるたびにこれを自動的に受信し、iPodに転送してくれる。ソフトはいくつかの種類があり、多くは無償で公開されていて誰でも自由に利用できる。プレイリストにも自動的に登録され、好きなときに好きな番組を選んで聞くことができる。(Webサイト「IT用語辞典 e-Words」より)

・ポッドキャストを選んだ理由

喋りがメインのラジオ、そしてインターネットが好きだから。その2つが合体したものがポッドキャストであったり、インターネットラジオであるのだけれど、今回ポッドキャストを選んだ理由は、単純に流行ってないからであり、流行ってない故、自分から知ろうとしない限り、それについてこれからも何も知らないままだろうと思ったから。自分自身、ポッドキャストの構造は面白いと思っているので、こういう機会を利用して調べてみようと思いました。

・ポッドキャストの歴史

ポッドキャストは、米国ソフトウェアエンジニアのケヴィン・マークスと、米国MTVの元VJでIT起業家のアダム・カリーによるiPodderソフトウェアの開発や、米科学者でスクリプト言語開発に多く関わった経歴を持つデイブ・ウィナーによるマルチメディアファイルをRSS内に関連付けすることを可能にするエンクロージャー要素の開発を発端にしている。(Webサイト「Wikipedia」より)

ポッドキャスティング誕生のいきさつについて、2004年11月に開かれたあるコンファレンスで彼はこう語っています。「数年前になるけど、ある会社がインターネットラジオのサービスを提供していたんだ。社長はブログに自分のドキュメンタリーやドラマをMP3やビデオファイルとしてアップロードしていて、僕はそれをダウンロードしていて聴いていた。最近はiPodにダウンロードして通勤やショッピング中に聴いていたんだけど、何ヶ月か前にこれを自動化したいと思い立ったんだ。それでとりあえず不出来だけど自分で「Apple Script」を使ってツールを作った。その後、本格的に開発者の手助けを得るために「iPodder」と名付けてそのツールを公開したのが、ポッドキャスティングの始まりなんだ」。それから、自分自身でも「Daily Source Code」というポッドキャストを始め、その名の通りほとんど毎日のように、ポッドキャスティングに関する話題や新しいポッドキャストの紹介などを織り交ぜたトークショーを配信し始めたのです。さすが元VJです。初期のMTVの人気VJとしてのプロの喋りは、すぐに若い世代からの強い人気を集め、ポッドキャスティング発展の強力な牽引力となりました。アガム・カリー氏の活躍はそれだけにはとどまりません。元VJのキャリアを活かして、米国の大手衛星ラジオ局のSirius Satelite Radioと契約してポッドキャスティングの紹介番組を始めたり、ベンチャーキャピタルからの投資を受けて「Podshow.com」という独立系のポッドキャスターをプロモートするためのポータルサイトを立ち上げたり、簡易なポッドキャスト製作ソフト「CastBlaster」を提供したりするなど、ポッドキャストの発展のために現在も活躍中です。

その一方、日本のポッドキャストは、ラジオNIKKEとライブドアの連携で始まりました。日本で最初のテスト配信は2005年3月11日。その頃、日本でポッドキャスティングを知る人はまだ少数でした。テスト配信はラジオNIKKEのWebマスターのブログでひっそりと始まりました。短いジングルの後に「ついに始まりました。日本のラジオで、たぶん初、のポッドキャスティング」と、Webマスター自信がちょっと興奮気味の声で、ラジオNIKKEがポッドキャスティングを始めるに至ったいきさつや放送とネットの融合にかける夢を語りました。(書籍「ポッドキャスティング入門」より)

・ポッドキャストの特徴

インターネットラジオとの一番の違いは、面倒な手間がかからない、という点であると思う。インターネットラジオの場合、ユーザー側が手動で配信している元のWebサイトをチェックする必要があったり、番組を聞き逃してしまう場合があったり、リアルタイムで聴く必要があるので時間を束縛されてしまう。

ポッドキャストは好きな時間、好きな場所(電車内であったり、寝室であったり、散歩中であったり…)で、世界中のあらゆる放送をインターネット環境があれば聴けるオンデマンド的なシステムである。また、通常のラジオ番組のように放送時間が決まっているモノではないので、リスナー側がパーソナリティ側に合わせる必要もなければ、リアルタイムで行われるモノではないので、時間を分けて聴くことができる、登録した番組が更新されると自動的にパソコンに番組がダウンロードされる…など、とてもユーザーにとっては便利ないかにもインターネット的なコンテンツでもある。

ちなみに、「メリットデメリット」というWebサイトでは、以下のようなメリット・デメリットが挙げられている。

メリット

・いつでも好きな時に聞ける。
・テレビで言う所の再放送的に後からの聴取が簡単。
・電車や空いた時間などのちょっとした時間を活用できる。
・無料で聴ける。
・ラジオとは違うお話が聴ける。
・番組情報がRSSによって配信される。
・予期せぬトピックが配信され新鮮に聞く事ができる。
・時間が短いので聞きやすい。
・インターネットがつながるとこなら、世界中どこでも聞ける。
・個人で配信してるので、親近感が沸く。

デメリット

・PCがないと、始まらない。
・出先で最新のエントリーをiPodにダウンロードしにくい。
・登録番組が多いと未再生の放送があっという間に溜まってしまう。
・知らない人に説明するのが難しい。
・ビジネスになりにくい。
・面白い番組に出会うのが難しい。
・いつでも聞けるので、結局聞かない。
・古いネタを新しいものだと勘違いする可能性がある。
・iTunesでのポッドキャストの検索がわずらわしい。
・好きな番組に限って配信数が少なかったりする。

・ポッドキャストを提供している会社について

「ポッドキャストの歴史」で触れたように、ポッドキャストは一個人の手によって生まれたものだが、ポッドキャストはiPodなどのデジタルオーディオプレーヤがあることによって需要が果たされる。ここではiPodの開発元であるアップルコンピュータについて触れよう。

アップル社は、アメリカ合衆国カリフォルニア州クパティーノに本社を置く、デジタル家電製品と関連するソフトウェア製品を設計・製造する多国籍企業である。ハードウェア製品として、パーソナルコンピュータのMacintoshシリーズ、携帯音楽プレーヤーのiPodシリーズ、iPhone、ソフトウェア製品としては、オペレーティングシステムのMac OS Xや、統合ソフトウェアのiLifeなどの開発・販売を行っている。アップルは、直営店(Apple Store)およびオンラインストアにおいてハードウェアとソフトウェアの販売を行っている他、iTunes Storeでは、音楽、オーディオブック、ゲーム、ミュージックビデオ、テレビ番組、映画など広範囲のデジタルコンテンツのダウンロード販売を提供している。また、アップルは、専門の音楽・映画産業向けソフトウェア製品の大手の提供元でもある。アップルのプロフェッショナルアプリケーションは、Final Cut Pro、Logic Pro、Shake、Final Cut Studioなどがある。同社は、1977年1月3日に設立されて以来、“Apple Computer, Inc.”を名乗っていたが、2007年1月9日に事業内容を反映させ、現社名の“Apple Inc.”に改称した。(Webサイト「Wikipedia」より)

・ポッドキャストを調べて分かったこと、考えたこと

iPodの爆発的な普及によって、ユーザーもその気になれば簡単に触れることのできるコンテンツであるが、 冒頭にも書いたとおり、ポッドキャストは流行っていない(海外ではそれなりに流行っているらしいが)。理由はそもそも単純な話、日本人はラジオを聴かないからというのが一番しっくりくると思う。海外で流行っている理由は、ラジオを聴く人が多いからその延長線としてポッドキャストを聴いているのではないかと思う。

また、音楽の著作権の問題などもポッドキャストの普及を邪魔しているのだと思う。「喋りもしたいし、自分が聴いてる音楽を流したい」という理由でインターネットラジオを始める人はとても多いが、その大半が著作権の問題をクリアをせずに、いわば非合法で音楽を流している。だから、非合法でやっている人たちからすれば、オーバーグラウンドでやるのはかなり抵抗があって、そういう意味でも、ポッドキャストが話題にならないのではないかと思う。

海外にサウンドエクスチェンジという、大手5社を含む2000以上のレコード会社に代わって、オンラインのラジオ局とWeb放送局から著作権料を徴収するというサービスがあるが、日本でも、音楽著作権を管理するJASRACがそういうシステムを作ってくれれば、お金を払って音楽を流すという人は必ず出てくるだろうし、その結果として、個人のポッドキャストが表舞台に出てくるとは思う。しかし、現実問題としてそういう動きは実はかなり前から行われてるそうなのだが、未だに進展がないそうなので、個人のポッドキャストの未来は暗い。

最近、動画版のポッドキャスト(Videocast)も出てきているらしい。音声だけのポッドキャストよりかは、ユーザーはとっつきやすいとは思う。それに、30分の番組を聴くのに30分の時間がかかる音声のみのポッドキャストと違い、動画ならば「今はこういう話題ですよ」というのがパッと見で分かるので、観たいところだけ観れるので、そういう意味でもユーザーはとっつきやすいと思う。YouTubeやニコニコ動画などの盛り上がりを見る限り、「動画」というコンテンツの需要はかなり高いものであると思うので、今後、もっと積極的に色々な人が配信側として出てくると面白いと思う。

・最後に

こうして今回、ポッドキャストについて調べてみたが、技術としてはとてもインターネット的で面白いが、これから先も恐らく流行らないだろうという感がやはり否めないと思う。ポッドキャストと同じような技術(コンテンツ)として、「インターネットラジオ」が挙げられる。インターネットラジオもまだまだ一般のネットユーザーに広く知られているものではないが、このコンテンツは個人的にとても面白いと思う。分かりやすくいえば普通のラジオのインターネット版であるのだが、ポッドキャストにないものがインターネットラジオにはあるからだ(パーソナリティとリスナーとの時間を共有している感覚など)。

逆に言えば、ポッドキャストにもインターネットラジオにないモノはあるのだが、それらは「好きな時間に聴ける」であったり、「最新の放送が自動にダウンロードされる」などの作業の効率化であって、コンテンツの面白さとは関係のないものである。ユーザーは本当に欲しい情報などは多少面倒であっても、GoogleやYahoo!などで求める情報を探し、手に入れる傾向がある。だからそういう意味で、ポッドキャストの特徴というのは正直な話、そんなに魅力的ではないのではないだろうか。

 

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